高精度溶融金属温度計測技術

概要

光ファイバー先端を溶融金属に浸漬すると放射温度計でありながら、放射率≒1として高精度かつ高速に測温ができます。浸漬すると先端は消耗するものの、浸漬型熱電対のように先端プローブを取り替える必要がなく、光ファイバー先端のメンテンスが不要で、そのまま次の測温が可能です。
鉄・非鉄分野の溶解・鋳造工程測温にとどまらず、溶接など過渡現象を把握するする研究分野にも広く採用されています。

センサーとして光ファイバーを細い金属管で被覆したFIMT®(Fiber In Metalic Tube)を放射温度計に接続したものであり、光ファイバー先端からの光エネルギーを放射温度計に取り込み光電素子で変換し、温度計測します。

特長

高精度・高応答

放射率≒1は空洞放射の成立が条件であり、細長いFIMT®の先端が溶融金属に囲まれることにより細いガラス部を黒体とみなすことができます。また熱容量が小さい細径の光ファイバーが測定端であるため、保護管や保護ガラスで覆われた熱電対に比べ周囲温度の変化に対する応答性にも優れています。

高精度測温

測温精度を確認するために実製造プロセスにおいて、光ファイバー温度計と浸漬型熱電対を浸漬し測温した比較結果は左の通りです。この1550℃前後での比較試験において±3℃の精度を確認しました。

なお光ファイバー温度計は2秒程度の浸漬で測温が完了しますが、浸漬型熱電対は、正しい計測を行うために保護部の伝熱による温度平衡(プラトー)を得るために10秒程度の浸漬が必要となります。

適用事例

  • 工程管理における適用例

製造工程上の温度管理として、人手による手動測温も可能ですが、測定作業の効率化と安全性向上の面から自動測温装置を構成することも可能です。鉄・非鉄分野での実用化例としては、精錬工場の樋部や、鋳鉄の成分調整鍋、さらに鋳造工場では各鋳型へ鋳湯毎の温度管理のニーズが高く、自動測温装置の適用が広がっています。

  • 研究分野における適用例

製造系以外に研究分野において高速応答性を生かした過渡現象の把握と評価に利用されています。適用例としては、溶接条件の決定において溶接時のビードの冷却温度曲線の計測に活用されており、開先部に予めセットした光ファイバーにより溶融プールの温度変化の把握に活用されています 。

熱電対では、母材の非溶融部分での間接的測温に留まっていたが、光ファイバー温度計では、溶融から凝固の過程の冷却カーブを連続的に得ることができます。

 アーク溶接部の温度測定時の流れ
YAGレーザ溶接の測温部のマクロ組織(板厚12mm)

実績

  • 製鉄所・製錬所(タンディッシュ測温、樋部など)  約50台
  • 鋳造工場(特殊鋼、鋳鉄、非鉄(銅・アルミ)各種) 約100台
  • 研究分野(大学、研究機関など)          約50台