遮断器の点検整備、精密点検技術

概要

低圧から特別高圧までの遮断器の点検・整備・補修を行い、メーカーによる保守が中止された遮断器についてもメーカーに代り超精密点検(オーバーホール)によって延命を実現する。

[点検時の故障部位、故障原因]

遮断器の部位別故障発生状況は、下のグラフの通り操作機構部と制御部の故障が50%以上を占めています。
遮断器操作機構部の故障は、グリース切れとグリースの乾燥・固化が原因で発生し、グリース切れでの動作障害は、各機構部の摩耗を促進し寿命を早めることにもつながります。
また、制御部の故障は、機構部のグリス硬化による動作不良・コイル焼損、電装品の接点の接触不良が主な原因となっています。

プラントエンジ補修時の故障部位(2015年~2020年)

[点検]

当社は装置産業と言われる鉄鋼業で早くから遮断器専門グループを組織化し、豊富な経験・技術を蓄積しています。メーカー保守中止された遮断器でも精密点検や超精密点検 をメーカーに代わり、性能の維持や不良個所を早期に発見し、事故を未然に防止するためにきめ細かい点検を実施します。

メーカー各社、多様な機種に対応

気中遮断器     (ACB

磁気遮断器    (MBB

油入遮断器    (OCB

極少油量遮断器(TCB

真空遮断器    (VCB

ガス遮断器    (GCB

・コンビネーションスイッチ(CBS)

・ 電磁接触器    (Hi-Ctt)

高速度遮断器  (HSCB

[超精密点検]

遮断器は、遮断部や操作機構部を全て分解整備するとともに、不良部品の手直しや再生など
一部の部品を補修又は交換することで、相当期間の延命が可能である。

1.MBB(磁器遮断器)の事例

2.VCB(真空遮断器)の事例

[遮断器の検査試験項目]

遮断器は精密点検、超精密点検時に、以下の表に示すような検査・試験による
劣化診断を行い整備を行う。

遮断器の検査試験項目と現地・工場検査試験の可否

  検査・試験項目 方法 現地・工場の可否
現地 工場
1 絶縁抵抗測定 ★絶縁物に直流電圧を印加
  (1)絶縁抵抗(1分間値)
  (2)絶縁抵抗の時間特性
  (1分値と10分値の比較)
  (3)絶縁抵抗の電圧特性を測定
2 開閉動作特性試験 ★時間測定器またはオシログラフによる
  投入時間、開極時間の測定
★投入・開極時の電流測定
★最低動作電圧測定
3 接触抵抗測定 ★低抵抗測定器による接触抵抗測定
  (電圧降下法による抵抗測定)
4 分解点検 ★細密点検・超細密点検時に可能な
  範囲で分解点検
★接触子など消耗部品の手入れ、または
  交換、グリスアップ等
5 消弧媒体の特性調査 ★絶縁油の破壊電圧の測定
  (絶縁油の交換)
★絶縁油封入容器の漏れ試験
6 真空度測定 ★耐電圧法による真空度測定
7 制御回路試験 ★定格電圧での入り・切制御
★自動遮断トリップフリー動作の確認
8 漏れ電流測定 ★直流電圧を印加した時の漏れ電流を
  測定し絶縁物の吸湿状態をチェック
★主回路・制御回路の耐電圧試験

※1・・・〇-可能   △…不可能な事項もある

※各部の寸法測定、試験の数値はJEC・メーカー基準に従った管理数値の確認